3.購入が先か売却が先か
現在住んでいる住居を売却して新たな住居を購入しようとしている方は、いわゆる住み替えになりますが、この場合も売却と購入をどのような順番で行うかが大きなポイントになります。
(1) 購入を先にする
不動産には同じものがありません。気にいった物件がそうそう流通するとも限りません。購入を先にするつもりでいれば、気に入った物件を見つけたら、それをすぐに手に入れることが可能です。ただし、その後売却を考えている不動産にローンの残債があれば、それが売却できるまで両方のローンを返済するWローンの状態になります。また、そうなると少しでも早く売却をしてしまいたいと考えるようになりがちで、買う側から足元を見られて、相場より安く手放すことになるかもしれません。
(2) 売却を先にする
現在住んでいる住居を売却してから新しく購入する住居を探すことになります。売却が確定しているので、新しい住居の購入予算が確定することになります。また、居住しながら売却先を探すことになりますので、少しでも高い買い手を見つけてじっくりと売却先を探すことになります。ただし、売却の契約を行ったものの、引渡しの時期までに新たな居住先の購入ができていないと、一旦賃貸住宅に入るなど、費用のロスが発生する可能性があります。販売契約時には引渡し時期を指定することができますが、長くても6ヶ月先くらいが現実的だと考えております。
(3) 同時進行
売却と購入を同時に行います。原則売却ができた時に購入をすることになりますが、売却の話がまとまっても、購入の物件がなければ、売却を進めることはありません。この場合は、1社の不動産会社に売却と購入をお願いすることが必要になります。
4.売却時に必要な費用
売却時に必要な主な費用はだいたい以下の通りです。個別ケースで違ってきますのであくまでご参考にしてください。
(1) 仲介手数料
200万円までの物件であれば販売価格の5%、400万円までの物件であれば販売価格の4%+2万円、400万以上の物件であれば販売価格の3%+6万円が、不動産会社に支払う仲介手数料となります。
(2) 印紙代
売買契約書に貼付する印紙代が必要になります。5000万円以下の物件なら1万5千円、5000万円超であれば4万5千円です。
(3) 登記費用
物件の売却に伴い登記の変更を行いますのでその費用になります。司法書士に依頼する場合は、住所変更登記で1~2万円、抹消登記で2~3万円になります。
(4) 測量代
売却時に隣地との境界のポイント等が不明の場合は土地の測量を行うべきです。この場合だいたい30~50万円ほどかかります。
(5) 解体費用
更地にして売り出す場合は、建物の解体費用が必要になります。木造なら、延床面積を元に、坪数×5万円程度かかるとお考え下さい。
(6) その他
売却益等がでれば所得税や住民税を支払う必要があります。
5.売却活動に入る前に
では、実際に売却活動に入る前に、留意すべき点についていくつか述べておきます。
(1) 買主は第一印象でほぼ決める
特に女性はこの傾向が強いです。ですので、買主候補の方が実施に物件を見に来られる前に、部屋はもちろん、ガレージ、庭、水廻りをきれいにしてください。プロのハウスクリーニングに頼むと、見違えるようにきれいになりますので、多少の投資と思って頼むのもいいかもしれません。また、意外に気づかないのがニオイです。住んでいると全く気づかないのですが、初めて訪れる方は気になってしまいます。注意してください。そして、カーテンを変えるなどして家の中を明るい印象にしてください。勝手口のドアや窓を勝手につぶさないのは前述の通りです。
(2) リフォームはするべきか?
本格的なリフォームは必要ないと考えます。ただしクロスの張替えやフローリングの修繕は安価であればしておくべきだと思います。前段でも述べましたがハウスクリーニングをプロに頼むと印象はまったくちがうものになります。
(3) 中古の場合の瑕疵担保責任
売主が業者であれば、2年の瑕疵担保責任(物件に欠陥があった場合に、売主が買主に対して負う責任)がつきます。売主が個人の場合は、2ヶ月ですが、契約時に特約によって免責することが可能です。これは、建物だけでなく土地にも適用されます。
(4) 引渡し時期
売買契約を締結後、通常は2ヶ月程度で引渡しとなります。実際の販売時には、「引渡し時期はご相談」とすることが多いです。常識的には6ヶ月が限度になると思います。