売出価格はどのようにして決める?
利益を分け合う気持ちで価格を決める
最終的に売出価格を決定するのは、お客様ご自身です。
わたくしども不動産会社は、査定価格とその根拠を示し、意見を述べさせていただきます。
ここでの査定価格は、おおむね3か月あれば、売却できるだろうと目論める価格です。単なる目安というよりも、売却にある程度責任が持てる価格を提示します。
この査定価格を参考にして、お客様に実際の売出価格を決めてもらいます。
誰しもが少しでも高く売りたいものです。ともすると、お客様は高め高めの価格設定になりがちです。でもそれはただ人は欲張りだというのとわけが違います。その家への愛着のあらわれであったりします。実際に住んでいるものが、その家の良さをいちばんよく知るといいます。そうした想いは、相場だけで割り切ろうとするわたしたちの意見と相容れないところも出てきます。それが、もう少し高くならないか、というお客様の声になるのでしょう。
しかし、明らかに相場を超えた価格で取引が成就することは、特殊な事情が働かなければ、まずありません。もちろん相場は、ある程度の幅をもった実際の取引価格によって形成されるものですから、もともといくらかは判断の余地を残しているものです。ただ、むやみな高望みは、機会を失う原因です。
取引は利益を分け合う行為、とよくいわれます。利益を独り占めする取引は、もともと成り立たないものです。売出価格の決定にあたっては、相手にも利益を与えようとする気持ちをもっていただければと思います。
相場とは、もともと利益を分け合う取引の結果がつくりだしているものです。相場に準拠することは、値付けの基本です。
特別に、お客様に売り急ぐ事情がある場合には、相場を下回る価格で売り出さなければなりません。この場合は、こう考えてください。
早く売ることが、お客様には通常より大きな利益(便益)になるのですから、相手方にも、価格の利益を通常より大きく与えなければならない、と。