複数の不動産会社に頼むのはどう?
他の不動産会社で決まるかもしれない、の気持ちが積極性を阻害
売却相談では、かならず媒介契約のことを説明するわけですが、1社にしか依頼できない契約と複数社同時に依頼できる契約がある、というと、だいたいお客様は後者、一般媒介のほうが有利という意見になります。
理由は簡単です。ご購入のお客様を見つけるのに、1社が探すより、複数の不動産会社が同時に探したほうが早い、という論法です。
失礼な言い方になりますが、それは単純な見方であり、誤解している部分もあるようです。
まず、誤解の部分ですが、1社だけに売却を依頼するからといって、その不動産会社だけでご購入のお客様を探すわけではありません。1社に限ってご売却依頼を出す媒介契約は、専任媒介と専属専任媒介ですが、こうした契約を結ぶと、不動産会社は、国土交通大臣指定の不動産流通機構へその物件情報を登録する義務を負います。
流通機構とオンラインで結ばれた多くの不動産会社が、ご購入のお客様を探すことになります。
もうひとつは、心の条理といったものです。不動産会社の報酬は、成功報酬です。どんなに努力しても、それだけでは、報酬につながりません。実際に、ご購入のお客様を見つけてお取引の仲立ちができてナンボの世界です。他の不動産会社で決まるかもしれないお客様に対しては、けっして手を抜くようなことはないのですが、いまひとつ積極的になれないのも、人の自然な心の動きではないでしょうか。
逆に、専任媒介・専属専任媒介なら、当社だけに、わたしだけに任されている、との意識から、どうしても決めてやろうと意気に燃えるものです。これもまた、自然な心の動きではないでしょうか。